新海誠監督の「天気の子」を観た感想

いつも利用する映画館でIMAX2D上映していたので観てきた。

 

前作「君の名は。」の時も思ったが、背景が綺麗なので大きいスクリーンで鑑賞すると映像に没入できてとても良い。今後も新海誠作品を劇場で観るとしたらIMAX2D上映を選ぶと思う。

でも前作の観た時の方が、映像の綺麗さに対する感動や引き込まれる感じはあったかな。彗星が落ちてくるシーンとか宮水神社の御神体がある場所とか、自然風景が背景だと雄大でとても綺麗。初めて入れ替わった時のシーンでも、新宿がすごくキラキラした感じの街並みとして描かれてたし。

と思ったけど、今作はストーリー上雨の場面が多く、全体的に暗めのトーンの背景が多いので、その辺は致し方ないのかもしれない。

 

ストーリーについての感想。

君の名は。」が世界を救って好きな子も救う話だとすると、「天気の子」は世界を救うのを放棄して好きな子を救う話なんだなと思った。

前作も今作も好きな子を救うために主人公がひたむきに頑張るんだけど、今作はそのひたむきさが狂気的に描かれていて、見ていて少しぞくっとした。ほんの短い間一緒に過ごしただけの女の子に指輪を贈り、救うために警察はおろか恩人にまで銃を向けるひたむきさ。もはやひたむきさを通り越して盲目・狂気そのもの。鑑賞中、帆高が「俺は帰らない!」と主張する度に、心の中で何度「いや帰れよ」と思ったことか。

そもそも何でそんなに家出したかったの?

作中では帆高の家出理由については描かれていなかったので、釈然とせず感情移入もできないまま話が進んでしまった感がある。保護観察処分になって家に戻った後も、「戻ってみればなんてことのない日常だった」みたいなこと言ってたし。

陽菜と出会った後の暴走っぷりの動機はまあわかる。思い込み激しいけど。けど、ネカフェに連泊したり風俗のスカウトに暴行されてまで家出を続行する、その決意の固さは何故だ。それだけ意固地な行動取ってるのに動機が明かされなくて結局最後まで釈然としなかった。

ラストは陽菜と無事再会できるけど、引き換えに異常気象は続いたままなのでハッピーエンドともバッドエンドとも言い難い感じ。でもずっと続く雨に合わせて交通網整備して適応してるような描写もあって、そこまで悲愴感は漂ってないからハッピーエンド寄りなのかな?

でも「君といられるなら天気なんかどうなったっていい!」と思いこむ関係って、なんだか閉鎖的で仄暗さが漂う関係だなあと思ってしまったり。

君の名は。」では、糸森に彗星が落下する運命は変えられないけれど、せめてその被害からは町民を救おうと主人公二人が互いに奮闘する描写があって、主人公二人の関係性は前向きに描かれていたので、今作とは対照的だなと感じた。

ストーリーや主人公カップルの関係性の描写なんかは前作の方が好みだけれど、解釈の余地が広そうなのは今作の方なのかな。時間があったらもう一度観てみたいかもしれない。

 

その他細々とした感想。

・凪のてるてる坊主姿がかわいい。陽菜にいらないと言われて切れてるところもかわいい。

・警察に捕まった緊迫する瞬間すら帆高が凪のことを先輩と呼んでて笑ってしまった。

・女性キャラに対して主人公が性的な視線を送ったことに対して、「どこ見てんのよ!」「今胸見たでしょ~」といった反応を返すシーンが所々にあって気になった。男性キャラを性的に見る描写は皆無なのに逆の描写は複数回あるのは何故?その意図は?

・エンドロールにてっしーとさやちんの名前があったのに作中で気づけなかったので、もう一度見る際にリベンジしたい。

・三葉がアクセサリー店の販売員として登場した時、「長時間立ち仕事で給料もそんなに高くないだろうなあ。家が都心なら家賃も高くて大変だろうなあ」と勝手にあれこれ想像してしまった。

 

新海誠作品は今回の「天気の子」と前作「君の名は。」しか観ていないので、過去作も見てみようかな。「秒速5センチメートル」とか。ただし、ラストはあまりすっきりしないと聞いたので、日照時間が短くて寒い冬は避けて観賞しよう。